長引く不況の今、時代は本物を求めています。NHKのプロフェッショナルという番組では、ひとつの事(仕事や研究、スポーツ等)に長年取り組み成果をあげた人にスポットライトを当てて、その生き様を紹介しています。
一つの事にとことんこだわり抜く姿勢が「本物」であると評価される時代なのです。
しかし、中途半端な人に逆風の嵐が吹き荒れるこの時代に、胸を張って中途半端に生きている人がいます。私です。
ブログの自己紹介で公表していますが、私は10年も船に乗って、いよいよ船長の辞令が下りるという直前に船乗りを辞めました。その瞬間、「元船長」という肩書きを失いました。「プロフェッショナル」に出演し、茂木健一郎さんと、髪型が似た者同士で対談するチャンスも失いました。
でもそれと同時に得られたものもあったんですね。それまで自分が全てだと思っていた船乗りという職業を客観的に見れるようになった事。船員仲間と「俺たちゃ船乗り、陸の連中とは違うんだぜぇ」みたいな感じでつるんでいた場所から飛び出し、医療機関という、これまた一種独特の職業意識を持つ人たちの世界に新たに足を踏み入れられた事。
「本物志向」の考えからいえば、まったく無知の世界に飛び込んで、また一から仕事を覚えていくなんて、これまでの10年間を無駄に過ごしたことになるかもしれません。でも逆の言い方をすれば、違う仕事をまた一から覚えることができるのです!
話は変わりますが、スポーツって、上達するまでの過程が楽しくないですか? 下手な段階からうまくなるまでの間って、伸びシロがすごくあるし、どんどんいろんな技を覚えたりするのがうれしくなったりしますよね。
でも、ある程度上達してしまうと、技を覚えるより、むしろ技をさらに磨く苦労、そしてミスをしてはいけないというプレッシャーが出て、それまでの攻めの姿勢から、なんとなく守りの姿勢に変わって行きます。伸びシロも以前ほどないでしょう。
同じように、私が船乗りをやめようと決意したのも、船長になって、それまでの10年の船員としての経験の集大成としてこの道を極めるよりも、まったく違う世界でまた新たな知識・技術を吸収したいという気持ちが非常に大きかったからです。 中途半端な人生の選択肢かもしれませんが、それでも仕事を本気で習得する熱意は誰よりも強く、常に持っていたいと思います。
当院に来て5年、まだまだ伸びシロはあります。全力で夢中になりながら、これからも頑張って行きます。
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